Jul 16, 2014

JATLAW 日本語法律関係文書の英訳に役立つ『立法』の知識 講演者: 鈴木將文氏

By Mika Jarmusz 

法令に関する日本語表現のルール・慣行は、内閣や議院の法制局による法令審査において厳格に守られており、各中央省庁や地方自治体の法的文書、裁判所の判決などでも遵守・尊重されていますが、契約書など私人間の取引における法的文書ではさほど徹底されていないケースもあります。それでも適合する文書は理解しやすく明快であり、逆にこれを無視する文書はそれだけで粗雑に見られることもあるため要注意です。

法、法令、法律の使い分けは、「法律」(国会が制定する法) <「法令」(成文の国内法。法律のほか、政令、省令、条令などを含む。) <「法」(法令に加え、国際法、慣習法、条理なども含む。) となります。

法令の小世界では、特定の用語に独自の意味が与えられることもあり、法令の一部分のみで通用するような定義が用語に付されることもあります。また定義規定などの概念説明においては、その説明が包括的・限定的なものなのか、それとも非限定的な (例示に過ぎない) ものなのかを見分ける必要があります。

「しなければならない」は、法的義務を意味する (守らなければ何らかの法的な不利益を受ける) 場合もあれば、努力義務を意味する (守らなくても直接的な法的不利益はない) 場合もあります。「するものとする」 は、私人に対しては法的義務の意味になるようです。

[[A, B and C] and D] and E
は「AB及びC並びにD並びにE」となり、「及び」は一回しか使いません。

[[A, B or C] or D] or E は「AB若しくはC若しくはD又はE」となります。and/or には通常「又は」を用いますが、このため曖昧さが生じることもあります。なぜなら「A又はB」という表現は「Aのみ」「Bのみ」「ABの両方」の三者のいずれかを意味する場合もあれば、前二者のいずれかのみを意味する場合もあるからです。

「者」は自然人と法人に使いますが、例えば「・・・の者であって、・・・のものは、・・・」のように関係代名詞風に繰り返して用いる場合には、二回目はひらがなで「もの」とします。

日本の法的文書では、特に「等」は多用される傾向にあり、読点「、」は極力省かれる傾向にあります。

鈴木將文教授のわかりやすい解説でこれまでのモヤモヤがかなり解消できました。


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